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盂蘭盆会
仏具のお磨き
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2023.08.10
お盆の前に掃除とお磨き
毎年、お盆(旧盆)の前になると、どこのお寺でも御堂も掃除と仏具のお磨きがおこなわれます。それは浄土真宗では「迎え火」「送り火」と言われるような祖先の霊がお盆の時期に帰って来られるということは申さず、常に祖先もご縁のあった方々は、残された人々に寄り添っておられ、お勤めする際に「おりん」を二つ鳴らすのは、一つ目のおりんで、お勤めが行われるっことを地荒神に連絡がいき、二つ目のおりんで地荒神が、極楽浄土に連絡され、阿弥陀如来さまはじめご先祖がたが降りて来れれ、法要が務まっているときは仏様で満ちていて、心が落ち着き安心するから眠くなるのだ、なんて言われます。そしてお勤めの最後に三つおりんがなって阿弥陀様やご先祖方が極楽浄土に昇って行かれ、それを往相廻向、還相廻向というのであり、お盆の時期だけでは帰って来られることではないのですが、常に身の回り、仏壇、仏具を綺麗にしておくことは、日頃の生活ではなかなかできません、だから世間一般と時期を合わせて、お盆の前に仏具にお掃除、お磨きをするのです。それは亡くなった方々への感謝の念と、供養の心からおこなわれているのです。恭敬の会を主催する蓮通寺でも毎年行われています。
仏具のお磨き
仏具は真鍮製のものが多く、浄土真宗でも西本願寺は燭台、香炉、花瓶には宣徳色の物が用いられていますが、東本願寺では蓮如上人以来からの真鍮製の鶴亀の燭台、香炉、花瓶、菊灯と呼ばれる油皿の載った燈明、天井から金具によってぶら下げられる輪灯、厨子等の軒先に吊るされる金灯籠などの真鍮製が用いられています。真鍮は手入れせずに放って置くと艶がなくなり、サビができてきます。そこで年に数回、たいていはお盆の前と報恩講の前に行われています。仏具を内陣から降ろして畳の上のゴザ(今はビニールシートが多い)に取り扱いいやすいように並べておき、お磨きする人達は一つ一つの仏具を手に取り、真鍮磨きの液体を付け、新聞紙等で磨き、彫りのあるものは歯ブラシ等で充分磨いて、乾かした後に、目地に詰まっていないかを確かめて、布で綺麗に拭き取っていきます。それから、内陣のお掃除ができた後に所定の位置に戻します。
華瓶、火舎香炉
お磨きをする仏具で、本尊阿弥陀如来様に一番近いところにあるのが、「火舎香炉」(カシャゴウロ)と「華瓶」(ケビョウ)です。これは、密教の仏具を取り入れたもので、「火舎香炉」は、護摩木を焚く護摩壇に置いてある香炉で、「華瓶」は、護摩壇の四隅に置いてある水を備える仏具で、昔は現代のように浄水道が整備されていることはなくて、川や井戸で汲んできた水をお供えしたのですが、水の腐るのを防ぐために、日本で唯一の香木である「樒」(シキミ)をそれに挿して腐るのを防いだのです。華瓶に挿す樒を供えるものだと勘違いしている人が多いようですが、あくまでお供えである水を腐らさない為のものです。また「華瓶」は仏具であるので「華」の字を用いて、(ケビョウ)と読むのです。
鶴亀燭台、香炉、花瓶
内陣の須弥壇の前に「前卓」を置き、その上には本山の「御影堂」(明治に再建されてから平成になるまでは、親鸞聖人は明治天皇陛下から「見真大師」という大師号をいただいたので、大師堂と呼ばれていました)や、一般末寺の本堂などでは「三具足」(ミツグソク)と呼ばれる、鶴亀の燭台、香炉、花瓶(カヒン)が置かれています、重い抱擁の際には鶴亀の燭台と花瓶がもう一つずつ置かれて、「五具足」(ゴグソク)が置かれます。元来鶴亀燭台、花瓶は仏具ではなく、鎌倉時代後期から室町時代にかけて出来上がった、「押し板荘り」(オシイタカザリ)と言う、部屋の奥の壁に掛け軸を掛け、その前に台を置き、その上に鶴亀の形ウィした燭台、香炉、花瓶を置いて荘ったことが行われるようになっていき、それが無る町時代に書院造りでやがて「床の間」になっていったのを、本願寺八代目の蓮如上人が取り入れられて、本尊阿弥陀如来の前に「前卓」を置きその上に鶴亀燭台、香炉、花瓶を荘るようにされたのです。だから仏具が揺らいではないので、「花瓶」(カヒン)「華」の字ではなく「花」の字を用いて、「カヒン」と呼ばれるのであり、その花瓶にいけられる花は「仏花」なのです。最近それを知ってか知らずか「仏華」と書き表す人がおられますが、あれは間違いです。これらの鶴亀燭台、香炉(普段は青磁などの陶器お用いています)、花瓶も真鍮製でできているので、お磨きを行います。
輪灯、菊灯
内陣の前卓の近くには左右に「輪灯」(リントウ)と呼ばれる天井から吊るされる輪のような形の油皿に満たされた油を「灯心」(トウシン)に浸され火を灯すものがあり、内陣、余間には「菊灯」(キクトウ)と呼ばれ、真上から見たら菊の花の形をしている油皿を棒の上に載せて灯りをともす道具があり、両方とも真鍮製でできていて、お磨きをいたします。
まとめ
年にお盆と報恩講の前に、仏具のお磨きをして大切な法要をお迎えすうことは、亡くなった先祖をはじめ、ご縁のある方々を敬い、供養の心を表す大事なことで、ただ簡単に郵便で送るだけの送骨では、亡き人に感謝の念を表すことはできないのであり、恭敬の会では、僧侶が家にお伺いして、礼拝の対象となる「三つ折り本尊」を授与氏、その前で丁寧にお勤めし、お骨を預かり、本坊蓮通寺において懇ろに納骨し、供養を行い、その供養の一環として仏具のお磨きを、ずっと続けております。