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仏具のお磨きとお掃除

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2022.08.07

仏具のお磨き

今日はご門徒の老人会の方々による仏具のお磨きと、世話方さんたちによる御堂のお掃除でした。
仏花を立てる花瓶については立て替えるたびに、毎回その前にお磨きはいたしますが、毎年、お盆の前と報恩講の前の二回行われれます。お掃除については、掃き掃除、縁の水拭き、外陣の畳の乾拭き、後堂の拭き掃除と、お盆の前には高い鞍掛を立てて天井の拭き掃除もしてくださって、本当に綺麗になります。

仏具のお磨き

蓮通寺の金属製の仏具(主に真鍮製)は、先の大戦の際の金属供出で、大部分が供出され燭台、香炉、花瓶は、政府が黒いガラス製の代用品を作って各お寺に配られて、それを今でも使っておられる寺もあり、蓮通寺にも残っていて大日堂で三十年前まで使っていました。
梵鐘も、慶長年間以前の物、皇室が寄進された物、慶長年間以降でも美術的価値が高いものは供出を免除されましたが、大多数のお寺のものは供出しました。蓮通寺の梵鐘も供出され戻ってきませんでした。お隣のお寺の梵鐘は戻ってきました、それは梵鐘の金属成分が鉄砲の玉やその他に使うには不適格だったということのようで、梵鐘の中あたりに穴があけられていて、撞いた時の余韻が短くなってますが、戻ってきたことは有難いことで、鉄砲の球にならなかったことは良いことです。
蓮通寺では、梵鐘、喚鐘、金属製の仏具ともに供出したのですが、明治三十二年の蓮如上人四百回記念の菱灯籠と、明治以前は石垣の下にあって、無住となり建物を学校として利用するために廃寺なり、本尊の大日如来は蓮通寺の境内の隅に小さなお堂を立てて奉安することになった「大照寺」の喚鐘は享保の物でしたが、大照寺の名を記したものを残すために隠して菱灯篭は、天井裏に、喚鐘は土に埋めて残しておきました。

仏具を並べる

前日の夕方、宗祖聖人のお厨子お扉を閉め、護衛に誇りが被らないようにし、前門跡闡如上人の御影、聖徳太子の御影、七高僧(親鸞聖人が選ばれた、インド、中国、日本の、浄土真宗を伝えて下さった高僧方)の御影、蓮通寺歴代の似影、坊守の法名軸をお下げして、書院床の間に安置し、ご本尊阿弥陀仏だけを残して(お磨きしてくださる方々が、七時半には集まって来られるので、当日では間に合わないから)おきます。
その後、仏具類を下げて、外陣中央に敷いたビニールシートの上に、鶴亀の燭台、花瓶、金香炉、上卓の花瓶(けびょう)、火舎香炉、仏飯器、等を並べて金属磨き(ピカールやアルボン)、ブラシ、古新聞紙、布を置いておきます。
当日の朝、晨朝のお勤めの後、すぐに御本尊の前の上卓を下ろし、書院の床の間に置き、ご本尊を台座から降りていたただき、打敷にお包みし、書院に移した上卓の上に安置します。御本尊の台座の蓮台にも打敷きをかけて埃が被らないようにして準備完了です。

洗剤に浸けて

彫りがあるものや香炉の蓋はお香の煙のやにがこびりついているので、洗剤が溶かしてある水につけ、ブラシで擦って目地に詰まってある磨き粉などを取り除きます。取り除いた後はに布などで充分に水分を拭き取ります。

お磨き

アルボン、ピカールといった金属磨きを付けて、一生懸命磨いて艶を出し、それを古新聞紙で磨き、彫りが深いところは、ブラシで磨きます。その後に綺麗な布で浄ぶきをして出来上がりです。西本願寺のお寺は金属の仏具のうち、前卓に花瓶、燭台、金香炉、上卓の華瓶、火舎香炉は宣徳色の皮膜にしてあるので、お磨きする必要はないのですが、東本願寺は全部金色の真鍮で、蓮通寺は御堂だけでなく、大日堂に仏具もあるので、よそのお寺よりも量が多いのです。

御堂のお掃除

老人会の方々お磨きと並行して、世話方さんたちが御堂のお掃除をしてくださいます。外陣ではお磨きをされているので、内陣の天井拭きからです。蓮通寺の内陣は折り上げ小組み格天井ですが、漆塗りに金具が打ってある物ではないので、皆さんに拭いていただけます。天井の後は漆等塗ってある、金箔が押してある以外の柱を噴いてくださり、余間の天井も拭いてくださって、一年の埃が拭きとられ綺麗になります。
住職は、天井が綺麗にしていただいた後、漆塗りに金具が打ってある、ご本尊の須弥壇、宮殿、後門柱、祖師聖人の須弥壇、お厨子、御代前、太子七高僧、法名前の壇上を、艶出しで磨きます。

外陣の天井と柱も

内陣、余間の天井拭きがひと段落して、後堂が綺麗になり、縁を拭いていただいて仏具のお磨きが済んだのをみはからって、次は外陣です。
背の高い鞍掛を立てて、順番に天井拭いてくださいます。外陣の天井は平格天井ですから、小組みのある内陣よりは拭きやすいのですが、高いところなので慎重に慌てずゆっくり作業してもらいます。また、蓮通寺は高台にあり、琵琶湖から噴き上がる風のあるときは、御堂はとても涼しく快適で、昔は田んぼで疲れて汗をかいたたあとに御堂の縁で昼寝をされる方も、結構ありましたが、午前中は風は少ないので、暑い中皆さん汗だくになりながらも頑張ってくださいます。

お磨き、お掃除が済んだら、

仏具のお磨き、御堂のお掃除が済んだら、磨き終えた仏具を元の位置に戻し、土香炉の灰を篩いにかけて綺麗にして香炉に戻し、輪灯を吊るし、太子七高僧の御影、前門跡に御影、蓮通寺歴代の似影、坊守の法名軸をお家計、宗祖聖人のお厨子の扉を開けてから、ご本尊にお戻りいただき、上卓を戻し、華瓶に水を入れ樒を差し、その後仏花を立て直して完了します。

まとめ

一年に二回、特にお盆前は天井拭きがあるので大掛かりになりますが、御堂や仏具を綺麗にしてお盆、報恩講をお迎えするのは、先祖方の思いを大事にするのと、感謝の気持ちのあらわれではないでしょうか。それによって人の結びつきが深まって行くのです。このようなことは蓮通寺の御門徒だけでなく、今までご縁のなかった方々にも広がるようにしていきたいと思うのです。固定化された門徒、檀家という堅苦しい繋がりの物ではなく、同じご縁をいただいたことを共に感謝して行けるようにしていくのが「恭敬の会」で、恭敬の会の送骨、訪問預骨 永代経、永代供養はそのきっかけになるのです。

恭敬の会 の預骨 訪問預骨

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